SSブログ

紙を選ぶ [works]

shichusuimeitaizen.jpg

占いの上製本のシリーズを一年に一回ほどデザインさせてもらっています。
その最新刊『完全定本 四柱推命大全」(鍾進添:著/山道 帰一:翻訳/河出書房新社:刊)が発売です。
今までにも『完全定本 風水大全』(盧恆立(レイモンド・ロー) :著/山道 帰一:監修/島内 大乾:翻訳/河出書房新社:刊)と『完全定本 易占大全』(盧恆立(レイモンド・ロー) :著/山道 帰一:監修/島内 大乾:翻訳/河出書房新社:刊)を出していて、
その道のプロが買うような専門書ながら重版にもなってる人気のシリーズですから
今回の『四柱推命』も人気の占いですから売れ行きも期待出来るというものです。

ekisentaizen.jpg
shichusuimeitaizen.jpg

シリーズだからと言って文庫本みたいにすごい規定があるわけではありません。
自分で決めたいい感じがベースになってシリーズが始まります。
まあそれもこれも最初の『完全定本 風水大全』が売れたからシリーズになるんですけどね。
この本は始めから珍しく、
カバーに加工紙を使用したり、
タイトル文字にUV加工(文字の部分だけテカテカ光沢をつける特殊加工)を施すなど、
少し贅沢な作りをさせてもらえた珍しいケースです。
内容的にも、そして300ページを越す分厚さもあって、
ちょっと高級感を出したいという出版社側の要望もあって実現した加工だったわけです。
この「紙を選ぶ」というのも、
昔は装丁デザイナーの大きな楽しみややりがいの一旦でした。
でも、最近の装丁は紙にこだわったり、
文字を箔押し(白や金などのインクで刻印のように印刷する技法)にしたり、
特殊な仕掛けを施したりすることが難しくなっています。
予算的に使える紙が決まっていて、
その選択肢はほんとに狭いものなんですね。
最初から売れる(人気作家の新刊などの)本なら、
最初から刷り部数が桁違いですから、
一冊あたりの制作コストが小さく済みます。
なので紙や仕掛けに凝ってお金をかけても元が取れるのですが、
多くの本は低部数でスタートするため、
制作にお金をかけることが出来ないのです。
そういう工夫された本で素敵な質感を味わったユーザーからすれば、
「なんでこういう風に凝らないの?こっちのほうが素敵なのに」
と思う人もいると思います。
でも、素敵なのはわかってるんですがなかなかお金をかけられない、というのが実情なのですね。

とは言っても、
このシリーズのように低部数でもなんとか豪華な仕様を実現出来てるのは、
編集者と印刷屋さんの工夫や臨機応変な機転がベースになっています。
カバーに少々高いお金をかけて上質感を演出するなら、
中の紙をすごく安いけど白くして安物には見えない紙を選んだり、
見返しに、一見ものすごい特殊な加工紙を使ってるように見えて、
実は値段的にそうでもない紙をチョイスしたり、
つまりは、「この範囲内じゃなけりゃダメ!」という格式張った選択方式ではなく、
人間の知恵と工夫能力を発揮したコストバランスで実現された装丁なんですね。
そういうことを放棄した出版社もたくさんありますが、
多くの書籍を同時にたくさん出す大手出版社なら
一冊一冊の吟味や工夫は煩わしく感じるのかも知れませんし、
それはそれでしょうがないのかもしれませんね。

幸いこのシリーズはそこそこ売れるシリーズになりましたから、
いや、売れたからシリーズになったのですが(笑)、
毎回違う感じの紙を選べるから楽しみなんですね。
といってもどんな紙でも選べるわけじゃないから、
あくまでも紙の値段のバランスでチョイスしてゆくんですけども。w

最近のそういう楽しみの実情。
今や貴重となってしまったデザイナーのお楽しみ。
そんな時代。w w

マハロー!


Incognito featuring Mario Biondi & Chaka Khan - Lowdown

にほんブログ村 デザインブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 デザインブログ DTPデザインへ
にほんブログ村

にほんブログ村 ライフスタイルブログ フリーランス生活へ
にほんブログ村

にほんブログ村 ライフスタイルブログへ
にほんブログ村

ALOHA DESIGN ON BLOG English translation

nice!(90)  コメント(39)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。